病的バリアント保因者の第一度近親者は50%の確率で同じ変異を持つ。だが多くは未検査のまま生活し、自分や家系が初発がんを起こして初めて判明する。本来なら早期の乳房MRI・大腸内視鏡・予防切除などのサーベイランスで発症前に介入できた人を取りこぼす。律速は検査技術ではなく「陽性者を起点に家系をたどる運用」。
2020年にHBOCについて、がん患者本人のBRCA検査・リスク低減手術・サーベイランスは保険収載された。ところが健常な血縁者のカスケード検査は自費(BRCAで約20万円)、認定遺伝カウンセラーは全国で数百人規模と希少で、「家系内の誰に声をかけ→検査→保因者の年次サーベイランスを管理する」デジタル動線が完全に空白。リンチ症候群(大腸・子宮内膜)も同じ構造で、最も費用対効果が高い"健常保因者の発症前介入"が運用の隙間に落ちている。
医学生(遺伝医学・がんの背景)×エンジニア(家系図エディタ・リスク層別・サーベイランス予約とリマインド)×トレーダー(自費検査+医療機関SaaSの収益設計)。当事者性は薄めだがゲノム×公衆衛生の出口(発症前介入で救命)は極めて大きい。可視化(家系図・保因確率・サーベイランス・タイムライン)が強く効く。最小の楔はHBOC診療をやっている1施設と組み、確定保因者の家系で"未検査の血縁者の特定率→検査到達率→サーベイランス予約率"を改善して見せること。臨床遺伝の専門職と検査ラボとの提携が前提。